September 7, 2009
 
ときどき、じぶんがこのよでたったひとりじゃないような、ふしぎなさっかくにおそわれるときがある。たとえば、火を見るとき。ゆきのあきちにたっているとき。ゆきどけみずでにごったどぶがわを、はしのうえからみおろすとき。ぼくはなにかにつながってる、なんてことを、こんなひとりのときにだけおもったりする。けれどすくなくとも、こっちからどりょくはしなくちゃ。ひとりだからって、いんきにとじこもっているなんて、てぬきだ。ずるい。ゆびのおと(注:犬の名前)はぼくをげんきづけてくれる。よなかにゆびのおとがきのみきをひっかくそのおとをきいて、ぼくは、ぼくがいきたにんげんだっておもいだすことができるんだ。
 
いしいしんじ「ぶらんこ乗り」より